2011年11月8日火曜日
誤訳・一九九九年人類絶滅説
出典:黄金の世紀:17頁
加治木義博(言語復原史学会)・ムックの本・KKロングセラーズ
《誤訳・一九九九年人類絶滅説》
《誤訳・一九九九年人類絶滅説》
そんな「災厄の世紀末」という考えが生まれたのは、
一○○○年前の九九九年末に「最期の審判の日」が訪れるといって、
人々 が大恐慌に陥ったフランスの事件からである。
それはごく小さなもので、一般には知られていなかったが、
十八世紀のフランスの大思想家ボルテールが、
社会風刺のために書いた作品で有名になって世界に広まった。
作り話にだまされて恐怖でバカ騒ぎをした
九九九年末の連中の愚かさを潮笑することで、
似たような頭の十八世紀人を反省させようというボルテールの目的は、
しかし十八世紀の、愚かな人々 にも理解できず、
あべこべに不安材料にして恐れおのの気自暴自棄になるものが続出して、
「誤訳・一九九九年人類絶滅説」同様、恐怖で人心を悪化させてしまった。
それはさらに十九世紀末にも、世界中の低俗作家や新聞記者などが、
その言葉だけをまねて、盛んに「世紀末…… 世紀末!」と、
知識人ぶって振りまわしたので、それがまた世人の不安をあおりたてて、
「世紀末」とさえ書いてあれば、
読者はどんな駄作でも中身も見ずに買うという珍現象が発生、
出版界の恐怖サギ商法がこうして誕生した。
その上さらに学者よった連中が「世紀末現象」という言葉を作り出すと、
それがまた一人歩きして誇大解釈され、
世紀末には大破滅に襲われるという迷信を新たに助長した。
「誤訳・一九九九年人類絶滅説」が書かれ売られた底流には、
こうした下地があったのである。
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